2024.04.26
広島駅のekieにある、多くの種類を取り扱うお酒専門店「酒ます枡」。販売スタッフやバイヤーは、お客様へ最適なお酒をご紹介できるよう、お酒の知識を深めるため日々勉強をしています。なかでも日本酒については、より知識を深めるために、色々な蔵元さんにご協力いただき研修に行かせていただいています。今回は「獺祭」でお馴染みの旭酒造さまで、蔵見学させていただきながら勉強した内容をご紹介します!
獺祭を手掛ける旭酒造
今や世界的に有名な「獺祭」は、山口県岩国市にある旭酒造株式会社がつくっています。コロナ禍には、お越しいただいて勉強会をしましたが、今回は酒蔵へお邪魔させていただきました。
近代的建物と機能で作られる獺祭
岩国市の山間を登り、穏やかな川沿いに突如現れる大きな建物。こちらが旭酒造の本社蔵です。酒蔵というとなまこ壁の伝統的な日本建築を想像しますが、旭酒造では近代的な建物で作られているんですよ。作業工程ごとに階が異なるんだそう。今回は上の階から下の階へ見学させていただきました。
マスクや簡易防護服、靴カバー等を着用し、酒蔵内にお邪魔しました。エアシャワーと消毒で準備は万全です。
秒単位で管理
こちらは、精米された酒米を水に浸す作業場です。真剣な目で、大きなデジタル時計を確認する方々。ここでは精米歩合や状況により、水に浸す時間を秒単位で管理されているんだそう。1日9トン洗米する中でも、こういった職人たちの技により品質が保たれているんですよ。
こちらは水から上げられた酒米。普段食べるお米と違い、精米歩合が高いので粒は小さくみえます。水に浸した酒米は大きな蒸し器にベルトコンベアで運ばれ、100度で蒸されていきます。作業場内は蒸されるお米のいい香りが広がっていました。
ここでちょっと小話。「獺祭」は漢字で“かわうそまつり”と書きます。言葉の意味は、獺が捕らえた魚を岸に並べてまるで祭りをするようにみえるところから、詩や文をつくる時多くの参考資料等を広げちらす事をさすんだそう。実は作業着にも、獺が魚を並べている様子がかわいくデザインされているんですよ。後でご紹介する本社蔵側のお店でも同じようなデザインのTシャツが販売中です。
データ管理と人の力
大きなタンクが整然と並ぶこちらは、お酒の中核である醗酵室です。とってもフルーティでいい香りが充満しています。ここでは上の階から送られてきた酒米を、タンクに入れて発酵させていきます。タンクはとても深いので、中ほどに作られた通路の上で作業を行いますよ。こちらの作業場、床も深いですが天井も高く作られています。それは、櫂棒で混ぜるときに天井に当たらないようにするためなんだそう。櫂棒とは発酵中に行う重要な櫂入れという作業に使われる棒のことで、櫂入れとは、タンク中の原料を攪拌する作業のことです。
旭酒造では櫂入れを2人1組で行います。発酵の出来を左右する櫂入れは、最大で40分くらい続くため力も根気も必要。旭酒造では高品質の酒を安定的にお届けするため、積極的にデータによる数値化が行われているんですよ。一年を通して室温が一定に保たれた醗酵室では、タンクごとに温度計が付けられており、すべてのサンプルを取ってもろみを管理しているんだそう。
こちらは発酵が進んだタンク。水面にはぷくぷくと泡が上がってきているのが分かります。細やかな温度管理で適切に発酵が進んだもろみは、いよいよお酒を搾る工程に進みます。
150枚の白い板が並んだ大きな機械は圧搾機です。旭酒造では現在10台の圧搾機が稼働していて、タンクから流し込まれたもろみを圧力で絞っていきます。精米歩合にもよりますが、1台のタンクからすべてのお酒を絞りきるのに、最大で8時間かかるんだそう。
分析とテイスティング
壁一面にグラフが貼られたこちらは、分析室です。検査機が並び白衣を着た方々が検査をしていて、実験室のような風景。ここでは、温度や糖の比重などをグラフ化しています。発酵中は、温度が低い時に米が溶けて糖が増え、温度を上げた時に酵母が糖を食べてアルコールができます。温度管理や水量を調整することで高い品質を保っているんですよ。
丁寧な管理の上作られた獺祭ですが、お酒が出来る工程がすべて終了した後、即出荷されるわけではありません。会長や製造部長によって行われる、テイスティングに合格したお酒のみが出荷されます。テイスティングはすべてのタンクで行われるんだそう。世界中で愛される「獺祭」は、最後の最後までこだわり続けて高い品質を維持しているんです。
獺祭の魅力いろいろ
本社蔵の向かい、川を隔てたところに趣のある建物があります。こちらは旭酒造の直営店舗です。
ここでは、「獺祭」の仕込み水が味わえるんですよ。よく冷えて柔らかい味わいでした。
このお店ではお酒だけでなくフェイシャルマスクやチョコなどちょっと珍しい商品も置いているんですよ。かわいい獺祭Tシャツも売っています。「獺祭」ファンの方必見のお店です。
お手洗いまでの通路には以前コラボした、同じく山口県岩国市出身の漫画家弘兼憲史氏の原画がご覧いただけます。
おまけ
本社蔵内の階段に飾られていたこちらの絵画は、昔の旭酒造の様子が描かれています。この伝統的な日本建築から現代的な酒蔵に生まれ変わりました。本社蔵は12階建てで、最上階は会長のご自宅なんですよ。
以上、「獺祭の蔵元「旭酒造」を見学しました!勉強会レポート」のご紹介でした♪
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※掲載内容は2024年4月時点のものです。
※価格はすべて税込です。